暖かくなる前のジメジメとした湿気が不快な梅雨の季節。そんな時の強い味方が、エアコンの除湿(ドライ)機能です。
湿度が高い時期にはとても便利な機能ですが、エアコンの除湿を使うと部屋が冷えすぎることもありますよね。中には冷房よりも寒いと感じる方もいるようです。
冷房ではなく除湿機能を使っているのに、どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?
今回の記事では、エアコンの除湿(ドライ)機能で寒くなってしまう原因や、なるべく部屋を冷やさずに快適に除湿する方法などを紹介していきます!
エアコンの除湿を使うと寒くなる原因
冷房は部屋の空気の「温度」を下げる事を目的とした機能で、除湿は部屋の空気の「湿度」を下げる事を目的とした機能です。ただ実際にエアコンの除湿機能を使うと、除湿ではなく、温度の変化を感じいている人が多いのも事実です。実際にSNS上の口コミを見てみましょう。
今日暑いな。帰ってきてハム部屋のエアコン切ったけど、それはそれで暑くなった😩でも除湿や冷房は入れたら寒い。難しいなぁ。結局MAX1番低い暖房にしてみてるけど。
— ハム活中こりす (@HamukatuK) March 29, 2024
梅雨あるある・エアコン除湿にすると寒いし切ると蒸し蒸しする
— む ぴ こ (@creamylogic_) June 16, 2023
エアコンつけてるのに寒いと思ったらまた除湿にしてた
— ちーふ (@chief_szk) March 20, 2024
上記のように、エアコンの除湿機能を使うと寒いと感じる人が多いことが分かります。なぜエアコンの除湿(ドライ)機能を使うと部屋が寒くなってしまうのか、まずはその原因について説明していきます。
エアコンの除湿機能は弱めの冷房
実はエアコンの除湿機能は、冷房と同じ仕組みで動いているのです。
一般的なエアコンの除湿(ドライ)機能は、弱冷房除湿といいます。
元々エアコンの冷房にも除湿効果があるのですが、肌寒い梅雨の季節などはあまり冷房を使いたくありませんよね。
そんな時、なるべく部屋の温度を下げずに湿度を下げる事を優先させる為に除湿機能があるのです。
しかし、結局は弱めの冷房をかけている状態ではあるので、冷房ほどではなくても徐々に部屋の空気を冷やしてしまいます。
それにより、寒さに弱い人にとっては除湿でも十分寒く感じてしまうのです。
冷房と除湿の違いは「冷房と除湿の違い。より湿度を下げるのは、実は冷房だった!?」の記事でもまとめているので、こちらも参考にしてみて下さい。
人によってはなぜか冷房よりも冷えてしまうという声もありますが、これはどうしてなのでしょうか?そちらについても解説していきます。
室内の温度差も関係
「暖かい空気は上に集まりやすく、冷たい空気は下に集まりやすい」というのを聞いた事がありませんか?
暖かい空気は上に上がり、冷たい空気は下に沈むため、部屋の上の方が暖かく、下の方が冷たくなります。
エアコンは通常、部屋の上に設置されていて、その温度センサーが実際に人がいる場所よりも高い位置にあるため、エアコンが部屋全体を均一に温度調節するのが難しくなります。
その結果、エアコンは設定温度に達したと感知する前に、部屋を冷やし過ぎたり暖め過ぎたりすることがあります。
寒いのはイヤ!エアコンで快適に除湿する方法
部屋がジメジメしていると過ごしづらくて嫌ですが、除湿を使って寒くなるのも嫌ですよね。
そんな時の為に、エアコンを使って部屋を快適に除湿する方法を紹介していきます。
部屋を冷やさない除湿機能、再熱除湿
まずは一度、自宅のエアコンの除湿機能を確認してみましょう。
もしも除湿機能が2種類以上あって、片方しか使っていなかった場合、もう片方は部屋を冷やさない除湿機能かもしれません。
エアコンの除湿機能は弱冷房除湿が一般的ですが、弱冷房除湿ではどうしても徐々に部屋の温度も下がってしまいます。
そこで、肌寒い時にもより快適に除湿できるよう、部屋の温度を下げずに除湿する機能が再熱除湿といいます。
再熱除湿があるエアコンには、リモコンに「カラッと除湿」や「さらら除湿」と書かれているボタンがあります。
メーカーによって名前が違ったり、カラッと除湿と書かれているボタンはなくても、除湿の切り替えで再熱除湿に出来る場合もあるので、詳しくは使用しているエアコンのカタログや取扱説明書を確認するのが確実です。
※除湿機能が1つだけだった場合の除湿方法はこちら
再熱除湿の付いたエアコンは高額で数も少ないですが、もしもこの機能が付いているのに気付かずに弱冷房除湿を使っていた場合は、ぜひ再熱除湿に切り替えてみましょう。
また、もしも現時点でエアコンの買い替えを検討していたら、再熱除湿付きエアコンの購入を候補に入れてみてもいいかもしれません。
再熱除湿は電気代に注意!
再熱除湿は弱冷房除湿と違って、部屋の温度を下げずに除湿してくれるので、肌寒いのに湿度が高い日でも快適に除湿ができます。
しかし、その仕組みは「除湿して冷えた空気を再度暖める」というもので、除湿に加えて空気を暖めるという工程が入るので、消費電力はどうしても増えてしまいます。
その為、むやみやたらと使っていると、予想以上に電気代が上がってしまうことになるのでご注意ください。
特に冷房より電気代が安いというイメージから、夏に除湿機能を使う方もいますが、再熱除湿の場合は部屋が冷えない上に電気代も増えてしまいますので気を付けましょう。
また、「エアコン掃除で電気代が安くなる?驚異の節約術!」の記事では月々にかかるエアコンの電気代の目安と、電気代を安くする節約方法について解説しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい!
再熱除湿を使わない場合
自宅のエアコンに再熱除湿機能が付いていれば楽ですが、付いていないエアコンの方が多いのが現状です。
また、電気代節約の為になるべく再熱除湿機能は使わずに除湿したいという方もいるでしょう。
続いては、再熱除湿機能以外でなるべく部屋の温度を下げない除湿方法を紹介します。
除湿の設定温度を上げる
もしも普段の除湿の時、温度設定を変更した事が無い方で、除湿時の設定温度が気温を大きく下回っている場合、除湿時の設定温度を上げてみましょう。
気を付けたいのは、温度設定が低い方が除湿効果自体は高いという点と、設定温度を上げ過ぎると除湿機能が働かないという点です。
気温よりも少し低めの設定温度から、徐々に下げていき微調整を行うのがいいでしょう。
サーキュレーターを併用する
先にご紹介したように、室内の温度差が原因で部屋が冷えすぎてしまうこともあります。
これを防ぐには、空気を撹拌して部屋の温度を均一にするのが一番なので、サーキュレーターや扇風機を使って部屋の空気を循環させましょう。
重要なのは風を送る向きですが、サーキュレーターを上に向けて、部屋の下にある冷えた空気を上に押し上げるイメージがおすすめです。
部屋の温度が均一になるとエアコンの稼働効率が上がるので、除湿で寒さを感じている時以外でも、冷房時や冬の暖房時には是非試してみましょう。
また、エアコンの送風機能を使用するのもサーキュレーターと同様の効果を得られる場合もあります。詳しくは、「エアコンの送風とは?電気代に除湿との違いなど仕組みや使い方を解説」の記事に記載がありますので、こちらも併せてご確認ください。
冷房の温度を高めにしてみる
除湿機能を使うよりも、設定温度を高めにした冷房の方が室温が下がりにくい場合があります。
除湿だとどうしても冷えすぎてしまう場合、こちらも試してみましょう。
こちらに関しても、気温よりも高い温度設定にすると上手く機能しないので、その点は気を付けましょう。
エアコンではなく除湿機を利用する
色々と試してみた結果、それでも寒いという場合は、エアコンの除湿をやめて除湿機を利用するのも手です。
除湿機を新しく購入するなら、まず注意したいのは部屋干し専用のものがあるということです。
エアコンの除湿の代わりとして使うなら、部屋全体の除湿ができるものを選びましょう。
なお、エアコンの除湿が寒いのが嫌なため、除湿機の購入を検討される場合もあることでしょう。除湿機の大まかな種類は下記のとおりですので、もしも購入される場合は参考にしてください。
除湿機の種類
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コンプレッサー式
エアコンのように、空気の熱を奪って結露を発生させ、水分を取りだします。
除湿された空気は冷えますが、エアコンと違い室外機がないので、奪われた熱は本体から直接排熱され、結果として室温はやや上昇します。
冬などの寒い時期には使えない点(気温15℃以上での利用が目安)や、運転時の音が大きいのが注意点です。 -
デジカント式
コンプレッサー式とは異なり、空気を除湿剤に通して水分を取りだします。
除湿剤に吸い取られた水分はヒーターで暖められた後、室温で冷やされる過程でタンクに溜まります。
コンプレッサー式よりも静かで気温が低い時期でも使えますが、ヒーターが使われるため室温が上がりやすく、電気代も高くなります。 -
ハイブリッド式
コンプレッサー式とデジカント式両方の機能を持った除湿機です。
暑い時期はコンプレッサー式、気温が低い時期はデジカント式と使い分けできますが、本体価格が高額となります。
また、種類によって音がうるさかったり室温が上昇しやすいものもあるので、そういった点も確認して選ぶのがおすすめです。肌寒い時期の除湿による冷えに悩んでいる方にとっては、室温が暖かくなるのはむしろメリットかもしれませんね。
ドライが寒い!各メーカーのエアコンの冷え過ぎ対策とは?
エアコンのドライモードは室内を快適に保つために便利ですが、時には冷えすぎてしまうことがあります。
実はダイキン、パナソニック、三菱電機、そしてシャープの各メーカーでは、それぞれ除湿機能の冷え過ぎ対策を施したエアコンが販売されています。
ダイキンの除湿機能の冷え過ぎ対策
ダイキンのエアコンは高度な気流制御技術を搭載しており、除湿時に寒さを感じた場合には「快適自動スイング」機能を使って空気の流れを室内全体に均等に分散させ、局所的な冷えを防ぐように設計されています。
また、「うるさら7」などの特定モデルでは、除湿しながら室温を下げすぎないように自動で温度調節を行う機能も備えています。
パナソニックの除湿機能の冷え過ぎ対策
パナソニックのエアコンは「ナノイー」技術を多くの製品に搭載しており、除湿時にも空気中の湿度を快適なレベルに保ちながら、室温の急激な低下を防ぐ微細な水分を空気中に放出することで、除湿時に快適に過ごせるようになっています。
また、一部のモデルには除湿時に温風を少量混ぜて送る「快適除湿」機能があり、室内が冷えすぎるのを防ぎます。
三菱電機(霧ヶ峰)の除湿機能の冷え過ぎ対策
三菱電機の霧ヶ峰エアコンは「ムーブアイ」センサーを備えており、室内の人の位置を検知して冷気を直接当てないように制御し、除湿時に寒さを感じやすい場合でも直接的な冷えを避けることができます。
さらに、一部のモデルには室温を適度に保つ「快適ドライ」機能が搭載されています。
シャープの除湿機能の冷え過ぎ対策
シャープのエアコンでは、「プラズマクラスター」技術を使用しており、除湿時にも空気を清浄しながら快適な湿度を維持することができ、また、一部のモデルでは冷房と除湿のバランスを自動で調整し、室内の快適さを保つことが可能です。
このように各メーカーでは、エアコンの除湿が寒いという声を汲み取り、除湿の寒さ対策を施したエアコンが販売されています。もしも今後エアコンの買い替えをされる場合、ぜひ参考にしてください。
除湿の風が臭いならエアコンクリーニング
除湿機能を使う時は、梅雨の時期や湿度が高いと感じた時だと思いますが、除湿をつけると臭いと感じる事はありませんか?
もしも除湿をつけた時に風が臭いと感じたら、それはエアコン内部に発生しているカビが原因です。
このカビは、冷房や除湿を使った時にエアコン内部で生じる結露が原因で、この結露にエアコンで吸い込んだホコリや汚れが付着する事で溜まっていき、カビが繁殖していきます。
また、エアコンの内部にカビが発生していると、部屋中にカビや細菌をまき散らしてしまい、嫌な臭いだけではなくアレルギー症状を引き起こしてしまう事もあります。
エアコンにカビが生える原因や、自分でできる掃除方法やカビの予防法に関しては「エアコンにカビが生える原因は?掃除方法や予防法の対策を解説!」の記事にも詳細を記載していますのでご参照ください。
下記の写真はエアコン掃除業者が、エアコン内部の汚れを洗浄した後にバケツに溜まった汚水ですが、エアコンの内部にはこれだけの量の汚れが溜まっているのです。
その為、すでに除湿やドライをつけた時にエアコンから嫌な臭いがしていたり、2年以上プロの業者によるエアコンクリーニングをしていない場合は、エアコンの内部にカビが発生している可能性が高いので、自分だけではなく大切な家族を守る為にもプロによるエアコンクリーニングを依頼するのがおすすめです。
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エアコンの除湿が寒い原因と快適な除湿方法まとめ
- 除湿で寒くなるのは冷房と同じ仕組みだから
- 再熱除湿機能付きのエアコンは温度を下げず除湿可能
- 弱冷房除湿の場合、設定温度の調整・サーキュレーターの併用・温度高めの冷房など試そう
- どうしても寒くなるなら除湿機を使うのも手
- 除湿の空気が臭かったら内部洗浄をしよう
本記事ではエアコンの除湿が寒い原因と、快適な除湿方法を紹介しました。
除湿機能は冷房と同じ仕組みなので、過度に利用すると寒くなり、カラダが冷えすぎてしまう場合があります。そうならないためにも、ぜひ記事内で紹介した快適な除湿方法を実践してみてくださいね。
また、エアコンの除湿の風が臭いと、部屋が快適にならないので、その場合はエアコン掃除も忘れずに行いましょう。
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